ITフリーランスが注意したい契約書のポイント

フリーコンサルタントの節税や保険

2018年8月29日

フリーランスで仕事をしていると、どうしても口約束で仕事をうけてしまうケースが多くなります。そのため、大切なことが曖昧になってしまい、後でトラブルになってしまうことも多いのが事実。特にIT系の場合は納期や品質で問題になるケースが多いと言われています。トラブルを防ぐためにも、ITフリーランスだからこそ押さえておきたい「契約書」について解説します。

契約書は自分で用意するもの?

以前に、クラウドソーシングで働くフリーエンジニアに必要なスキルでも紹介しましたが、フリーランスとして働く場合、スケジュール管理や経理処理も基本的に自分で処理をしなければなりません。外注に出すとしても、自分で把握しておく必要がありますよね。契約関連もその1つではないでしょうか。

長年フリーランスをしている人なら、「仕事をしたのに支払ってもらえなかった」「納品した後で値切られた」「仕事途中でいきなりのキャンセル」などの痛い経験を一度はしたことがあるのではないでしょうか?
フリーランスの場合、取引先が法人であれば法人側が契約書を準備するのを待っていたり、フリーランスでは準備できないと切り出しづらいと思ってしまう方も多いようです。

しかし、取引をする前に、きちんと取引内容を決めておかないと、後日トラブルになり両社嫌な思いをすることに。そうならないためにも、フリーランスも自分で契約書を準備し双方対等な取引を心掛けましょう。

一から作成するとなると「専門家に依頼しなければならないのでは?」と思いがちですが、WEB上に展開されているテンプレートを使ってもOK。
丁寧に解説されているテンプレートもありますので参考にするのがよさそうです。
参考:Web系フリーランスをモンスタークライアントから守る契約書

フリーランス,契約,注意点

フリーランスの契約の種類

フリーランスとして仕事を受ける場合、大きく2つの契約形態があります。報酬対象が異なりますので、契約の際には、どちらにあたるのかよく確認しましょう。

    1. 請負契約
      フリーランスが仕事を完成させることを約束して、クライアントがその仕事の成果に対して報酬を支払うことを約束する契約です。WEB制作や印刷物のデザインなどは、これに当たります。
    2. 準委任契約
      仕事の完成や成果ではなく、時間や期間によって報酬を支払うことを約束する契約です。1日いくらでプログラム開発の仕事をする場合などは、これに当たります。仕事の完成・成果に対してではないと言っても、一定レベルの仕事をキチンとしなければなりません。

このどちらかによって、契約書の重要ポイントも異なります。取引の際には必ず確認をするようにしましょう。

フリーランスの契約書、重要項目とは

フリーランス,契約書

クライアント側に契約書の用意がない場合には、こちらで契約書を用意しなければなりません。契約書に記載しなければならない、重要な項目をご紹介します。

      1. 受ける仕事の内容について
        どこからどこまでが業務の範囲なのかを明確にします。例えばWEB制作の場合、素材となる画像や文章は誰が用意するのか、ショッピングカートの商品登録は何点までなのかなど、細かな点まで決めておくことが大切です。細かな点が多くなる時は、別に仕様書を作成して、そこに記載するのがよいでしょう。
      2. 料金・報酬について
        契約書の中でも一番大事な部分です。金額だけでなく税込みなのか、支払期日、支払い方法なども決めておく必要があります。消費税については、法人・個人関係なく請求できますので、税込か税抜かは必ず明確にしましょう。支払期日については、遅延した場合のペナルティを契約書内に盛り込むことも効果的です。支払方法については、振込手数料の負担など細かい点ですが注意したほうがよいポイントです。
      3. 着手金の有無
        報酬の何割かを着手金として受け取れることができる場合は、そのことも契約書に明示しましょう。フリーランスの場合、可能な限り着手金の支払いを受けることをおすすめします。急なキャンセルを防ぐことにもつながりますし、安心して仕事に取り組むことができます。キャンセル時の規定も必ず確認を。
      4. 納品とその承認について
        納品の形態や納品方法など、何をもって納品なのかを決めておきます。納品したつもりになっていたのに、1ヶ月経ってから大幅な修正が入るなどということもあり得ます。「納品後1週間以内に連絡がない場合は、その納品が承認されたものとみなす」のように、納品したと認められる時期も決めておくのが良いでしょう。
      5. 納期後の修正について
        納期後にクライアント側の都合で修正する場合には、有料なのか、無料なのか、無料であればいつまでなのかを決めておきます。
        これを決めておかないと、無料で何度も修正をするということになりかねません。
      6. 瑕疵担保責任について
        こちらのミスが原因で、納品後に不具合があった場合に、無料で修正に対応する旨を記載します。ただし無期限ではなく、3ヶ月以内などと期限を決めておくのが良いでしょう。準委任契約の場合は仕事の完成や成果ではなく、時間や期間によって報酬を支払う契約のため、瑕疵担保責任は発生しません。
      7. 著作権について
        納品した制作物が勝手に二次利用されないように、事前にルールを決めておきます。
        この他にも必要に応じて「再委託について」「秘密保持について」「不可抗力のあった場合」「損害賠償について」などの項目も記載しましょう。
      8. 機密保持契約(NDA)について
        契約書内に項目がある場合や、契約書とは別にNDAに捺印を求められる場合など様々です。フリーランスにとって、自分の仕事実績は公表したいところですが、自分のプロフィールとして取引先名を開示してよいか、またどこまで可能かなど、確認しておくことが必要です。

契約書を交わすことができないときはエビデンスを残そう

契約書を交わしたいとお願いしても、「仰々しい」「信頼してくれないのか」なとど、契約書を交わすことを拒まれることもあります。そのような時には、打ち合わせで決まった内容をメールしておくことをおすすめします。

「本日は、打ち合わせありがとうございました。打ち合わせ内容を確認させていただきたく、メールをお送りします。」として、仕事の内容や報酬などをメールします。

記録としても残りますし、後で言った言わないのトラブルを避けることができるためぜひ取り入れてくださいね。

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