【ERPコンサルタント】必要な経験・年収・キャリアパスをERPの基礎知識とともに解説

フリーコンサルタントのキャリア

2024年2月14日

ERPコンサルタントは、企業がERPを導入・活用するうえで幅広くサポートし、企業の経営課題を解決する職業です。ERPコンサルタントの業務内容や年収について、詳しく知りたい方も多いのではないでしょうか。

この記事では、ERPやERPコンサルタントの概要を解説したうえで、ERPコンサルタントに必要な経験、年収、キャリアパスなどを紹介します。ERPコンサルタントを目指す方は、ぜひ参考にしてください。

目次

  1. ERPとは?
  2. 代表的なERPパッケージの例
  3. ERPコンサルタントとは?
  4. ERPコンサルタントに必要な経験や資格
  5. ERPコンサルタントの年収
  6. ERPコンサルタントの3つのキャリアパス
  7. まとめ

ERPとは?

ERPとは、「Enterprise Resource Planning」を略した言葉で、直訳すると「企業資源計画」です。

企業の重要な経営資源である「ヒト・モノ・カネ・情報」を集約して管理し、経営を効率化させるという考え方、もしくは効率化を目的としたシステムを指します。

また、ERPは「ERPパッケージ」「基幹システム」「業務統合パッケージ」などとも呼ばれます。製品によって異なりますが、備えている機能はおおむね次のようなものです。

・人事・給与管理

・販売管理

・生産管理

・在庫管理

・会計管理

・顧客管理

ERPを導入する企業の業種によって、重点を置く機能には違いがあります。例えば、製造業などの場合は、生産管理機能が充実しているERPを選ぶことが一般的です。

なお、ERPには以下の2種類があります。

インターネット上にシステムを構築して運用する「クラウドERP」

自社のサーバー上にシステムを構築して運用する「オンプレミスERP」

代表的なERPパッケージの例

次に、世界的に知られているERPパッケージを3つ紹介します。

SAP ERP

SAP ERPは、ドイツを拠点とするビジネスソフトウェアメーカーのSAP社が取り扱うERPパッケージです。世界190ヵ国以上で導入されるなど圧倒的な人気を誇り、日本でも2,000社以上が導入しているとされています。

SAP社は、1973年に世界初のERP「R/1」をリリースしており、長い歴史と実績によって信頼性を獲得しているメーカーといえます。

SAP ERPは大企業をメインターゲットとするものの、中堅企業向けの「SAP Business ByDesign」、中小企業やスタートアップ企業向けの「SAP Business One」など、企業規模に合わせて選べるパッケージがあることも特徴です。

なお、SAP ERPは2027年に標準保守(メインストリームサポート)が終了するため、最新版のERPパッケージ「SAP S/4HANA」への移行も進められています。

Oracle EBS/Oracle Fusion Cloud ERP

Oracle EBSは、アメリカのOracle社のERPパッケージで、同じカテゴリの製品としては世界シェアがSAP社に次ぎます。基本的な機能に加え、SCM・CRM・BIなどのシステムも統合されています。

システム名 特徴
SCM(Supply Chain Management) 原材料の調達から設計、製造、製品の配送工程で、製品やデータ、財務を管理する
CRM(Customer Relationship Management) 「顧客関係管理」とも呼ばれ、顧客との関係性、コミュニケーションを一元的に管理する
BI(Business Intelligence) 企業内の多様なデータを収集・分析・ビジュアル化したうえで、より効率的な業務プロセスを実現する

なお、現在は従来のオンプレミス型ERPパッケージから、所有コストが最大50%低いクラウドERPサービス「Oracle Fusion Cloud ERP」への移行が促されています。

Microsoft Dynamics 365

Microsoft Dynamics 365は、アメリカのMicrosoft社のオールインワンソリューションです。基幹業務、営業・マーケティング、カスタマーサービスなどで使える機能が標準で用意されており、柔軟にカスタマイズできることが特徴です。

また、Office 365を利用している場合は、ライセンスを追加するだけでMicrosoft Dynamics 365を使え、ExcelやWordの形式によるデータ出力もスムーズに実行できます。

ERPコンサルタントとは?

ERPコンサルタントとは、ERPに関する専門知識を有し、クライアントの経営課題の解決に適したERPパッケージの導入提案、および導入後のサポートまで行なうアドバイザーです。

導入提案の段階では、クライアントの現状を分析するとともに、ニーズをまとめ上げて、課題解決に必要なITシステムの要件を定義します。その後、システム設計・開発・導入までのプロジェクトをマネジメントするのが、一般的な流れです。

また、ERPを導入したあとは、運用のサポートやバージョンアップ対応、追加システム開発などのフォローアップを行なうケースも多くあります。

ERPコンサルタントの業務のなかでも、特に重要な位置を占めているのは、プロジェクト管理といえます。というのも、プロジェクト管理が不十分であったために、クライアントへのERP導入が中止になるケースもあるためです。ERPの導入・運用には高額なコストを要するので、クライアントが満足するサービスを提供するためにも、ERPコンサルタントの経験やノウハウの豊富さが問われます。

ERPコンサルタントに必要な経験や資格

ERPコンサルタントとして活躍するには、ERPに関する専門知識だけでなく、クライアントの業界・業務に関する豊富な知識も必要です。例えば、クライアントが属する業界で勤務した経験があれば、クライアント企業の経営課題の解決に向けてスムーズな提案が可能でしょう。

また、資格は必須ではありませんが、ERPコンサルタントとして活躍する方の多くは、何らかの資格を取得しています。具体的には、先述したSAP社・Oracle社・Microsoft社の主要製品に関する以下のような認定資格が挙げられます。

認定資格 特徴
SAP認定 SAPエキスパートとして活躍できる認定資格で、中級レベルには「アソシエイト認定」「スペシャリスト認定」、上級レベルには「プロフェッショナル認定」がある。
ORACLE MASTER Oracle Database 19c に対応した「ORACLE MASTER 2019」には5つの認定資格があり、ITエンジニア向けの「ORACLE MASTER Bronze DBA 2019」や、データベースエキスパート向けの「ORACLE MASTER Platinum DBA 2019」などがある。
Microsoft Certified: Dynamics 365 Fundamentals(ERP) Microsoft Dynamics 365 の財務や運用アプリに関して幅広く理解していることを証明できる。

上記のほか、簿記・税務・会計に関する資格なども持っていると、企業の業種を問わずに業務へ役立てられるでしょう。

なお、企業によってはグローバルプロジェクトに携わるケースも増えているため、採用試験に際して、語学力を証明できる資格の有無が重要な場合もあります。

ERPコンサルタントの年収

ERPコンサルタントの年収は、会社員とフリーランスなど働き方の違いや、自身のスキルレベルによって大きな差があります。例を挙げると、大手コンサルティングファームに所属していても、経験が浅い20代~30代前半の方は、年収が500万円程度に留まるケースもあります。

一方、マネージャークラスなら年収が1,000万円を超えることも珍しくありません。さらに役職が上のパートナークラスになると、年収2,000万円以上を目指すことも可能です。

なお、パートナーとはコンサルティングファームの最上位役職のことで、ディレクターやプリンシパルなどと呼称されるケースもあります。新規クライアントの獲得、およびコンサルティングファームの経営に関する役割を担っており、責任が重大な分、ERPコンサルタントとしての平均年収も高い傾向にあります。

ERPコンサルタントの3つのキャリアパス

ここからは、ERPコンサルタントのおもなキャリアパスを3つ紹介します。

自社内でキャリアアップする

1つ目のキャリアパスは、自社内で経験を積み、着実にキャリアアップしていくケースです。ERPコンサルタントは、実力や経験が認められれば、20代後半からプロジェクトマネージャーに昇進する可能性もあります。

ただし、パートナークラスになるには、プロジェクト経験だけでなく新規案件を獲得する営業力も求められます。ミドル層になると、営業力が乏しくパートナーへ昇格できなかったばかりに、コンサルティングファームを退職せざるを得ない事例もあるので注意が必要です。

なお、自社内でのキャリア形成の一つとして、ERPコンサルタントから業務改善コンサルタントへキャリアチェンジするケースもあります。例えば、ERPコンサルタントの業務で会計機能の導入を多く手がけ、会計・経営管理の知識を蓄積していれば、業務改善コンサルタントとして活躍する際にも活かせるでしょう。

ほかのコンサルティングファームへ転職する

2つ目のキャリアパスは、ほかのコンサルティングファームへ転職するケースです。一口に転職といっても方法は大きく2つあります。

まず挙げられるのは、ERPコンサルタントとして積んだ経験をもとに、類似するコンサルティングファームへ転職する方法です。もう一つは、ERPのなかでもSCMやCRMなどに特化して専門性を高めたうえで、自身の能力とマッチする企業へ転職する方法です。

ただし、どちらの転職方法に関しても、新規案件を獲得する営業力やプレゼンテーション能力は不可欠でしょう。優れた営業力を持つ人材は、転職市場でも高く評価される傾向にあります。

独立してフリーランスになる

3つ目のキャリアパスは、コンサルティングファームなどで経験を積み、人脈を広げたうえで独立するケースです。フリーランスとして働くメリットは、結果を出せばその分収入に反映されやすく、受注する案件や働き方を自身で決められる点です。

一方、実力や営業力が不足している状態で独立してしまうと、うまく案件を獲得できずに収入が途絶えてしまうおそれもあります。

フリーランスのERPコンサルタントを目指す場合は、コンサルティングファームに在職している間に営業力を磨いたり、必要資金を用意したりと、十分な準備を行なっておくことが大切です。

まとめ

企業の経営課題の解決に向けて、ERPの導入をサポートするERPコンサルタントは、実務経験を積み、営業力などを身につけることで高年収も目指せる仕事です。また、キャリアパスとしては、自社内でキャリアアップするほか、別のコンサルティングファームへ転職したり、フリーランスとして独立したりする選択肢もあります。

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